タワーマンション購入の相続税節税否認を逆手に取った節税は可能か?

相続税

【1】タワーマンション購入による相続税の節税

(1)概要

相続税の課税価格は法律上は「時価」によるとされています。

しかし、土地や建物については、時価の算出が困難であるため、相続税財産評価に関する基本通達に評価金額の算出の仕方が規定されています。

この規定を利用し、相続税の節税を図るのが所謂タワマン節税です。

タワーマンションを相続税財産評価に関する基本通達により計算すると実際の市場価格の2割程度になることもあります。

つまり、死亡する前に財産を「現預金」→「タワーマンション」とし、相続時は遺産をタワーマンション評価額とし、相続後にそのタワーマンションを売却し現預金に戻すことにより相続税を大幅に減額することができます。

例えば、Aさんの財産は預金3億円のみで他の財産はないとします。

Aさんは、このままだと相続税が過大と思い、タワーマンションを3億円で購入しました。

半年後にAさんは死亡しました。

タワーマンションを通達による財産評価の方法で行った結果、相続税評価額は6,000万円でした。

これにより相続財産を2億4,000万円も圧縮できたことになります。(相続税額で1億円近く節税することができます。)

(2)否認されることもある

さて、(1)だけ見るとめっちゃお得な方法と感じますが、世の中そんな甘くはありません。

財産評価基本通達6項に、このような記載があります。

「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する」

つまり(1)の例に示したものでいうと、

国税庁長官「購入価額が3億円もしたのになんで相続税の評価のときに6,000万円にしてんねん。百歩譲って2億9,000万円」となってしまうわけです。

(3)否認されないために

①早めに購入をすること

上記のケースだと、死期が迫っている状態でタワーマンションを購入したことから不当に相続税の評価を下げる意図が見受けられるため、否認される可能性は当然高くなります。

ですので、早めの相続対策としてタワーマンションを買うのが良いでしょう。

②相続が終わってからすぐに売らないこと

相続があってから申告期限までの間にそのタワーマンションを売却してしまうと、その売却価格が時価と認められる可能性が相当高くなります。

なぜなら財産評価基本通達は、時価を把握することが困難だから計算方法を定めてその方法に従って評価額を算出していいですよというものです。

それなのに相続があって間もなくして売却してしまったら、時価(実勢価格)が露呈してしまいます。

そのため、売却をするのは相続があってから2~3年後にしましょう。

③銀行から融資を受ける場合の借入理由

タワーマンションを借入金により購入する場合、銀行の稟議書に「相続対策のため」との記載があると、タワーマンションを節税目的で購入していることが明らかになってしまいます。

融資を受けるときは、それ以外の理由をつけてなんとかしましょう。

【2】否認される理由を逆手にとった節税は可能か?

さて、本題に入ります。

否認されるケースとして上記【1】(3)②に、「相続があって間もなくして売却してしまったら、時価(実勢価格)が露呈してしまう」と書きました。

ってことは・・・・・

めちゃくちゃ安い金額でタワーマンションを売却したら、それが時価になるのでは?

答え・・・なりません。

いくら売却価格=時価になると行っても、明らかに低額な売却は低額譲渡に該当し、時価とは認められません。

さらにこの場合、購入した側には時価と購入価格との差額を贈与されたものとして贈与税が発生します。

さらに相続税の負担を減少させるために通常では考えられない取引を行っているため、重加算税という罰金的なものも課される可能性もあります。

多額の節税はリスクを伴いますので、慎重に行いましょう。

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